認知機能と薬剤師の役割
外来通院患者さんの内服治療において、医師の役割に診断と薬の処方があります。
医師は患者の訴えから病気を推測し、検査を行い最終的な診断に基づいて薬の処方を行います。
しかしながら、服薬指導の現場に携わっている薬剤師の方からは、「実際の医療現場においては、用法通りに服用できていない事の方が多いかもしれない。その要因は、患者自身の判断であったり、知識の問題であったり、金額的な問題であったりするが、認知機能に問題があるケースも多く見受けられる」とお伺いしました。
また、「本来、薬剤師の職能は服薬指導がメインである。
その為調剤薬局において、投薬する薬剤師が患者1人1人の認知機能をスクリーニングレベルで把握しておかなければ、医師の処方設計に対して、根拠ある提案が出来ない」と話されました。
こういう想いから、その薬局ではCogEvoを始めとする様々なスクリーニングツールを活用して地域の高齢者の認知機能を調査し、それらの有用性を検討・検証されています。
また、「点数などの結果よりも、スクリーニングを行っている患者の様子からその人の認知機能の問題点が見えてくる。だから“本人自らが行えるICTツール”だと観察できるし、聞き手のバイアスもかからないから良い」とのお話もいただきました。
『患者の得点がどれだけであったか』ということより、『患者がどの課題をどのように解決しようとしてどのように誤ったか』ということのほうが、はるかに情報的価値が高いということは海外の研究報告でも指摘されています。(Lezak MD,et al, Neuropsychological assessment ,4th edition.Oxford U.P.,New York,2006)
「認知機能の見える化」は数値だけでなく、その人の認知機能の特性も可視化されることが重要ではないでしょうか。
(認知機能の見える化研究所)